大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

浦和家庭裁判所 昭和46年(少)59号 決定 1971年2月25日

少年 M・H(昭二八・一・二三生)

主文

少年M・Hを中等少年院に送致する。

右少年院収容期間を昭和四六年二月二五日から一年間と定める。

理由

(非行事実)

少年は、昭和四五年一二月二日当裁判所において、浦和保護観察所の保護観察に対する旨の処分を受け(昭和四五年少第一、五〇二号傷害保護事件)、以来同観察所の観察下にあるものであるが、保護者である実父、継母および右保護観察担当者の指示、注意にもかかわらず、従前からのシンナー、ボンド嗜癖が増々高じ、昭和四六年二月三日(同行状執行の日)までの間、連日の如く多量のシンナー、ボンド類を吸引し、またその間無断外泊を繰返したり、時には右シンナー類の購入代金に窮し、これを年少者より借受けたりしていたものであつて、このまま放置するにおいては将来罪を犯すおそれがあるものである。

(適用法令)

少年法三条一項三号(イ、ニ)

(処遇理由)

次のとおり付加するほかは家庭裁判所調査官藤元由紀子作成昭和四六年二月二四日付意見書の記載と同一なので、これをここに引用する。

犯罪者予防更正法四二条一項に基づく保護観察所長からの通告事件において、本人を保護処分に付するにあたり、その者が二〇歳未満の場合は、当然に少年院法一一条一項、前記更正法三三条一項が適用され、同更正法四二条三項により、右保護処分の期間を定める必要はないものと解されるが、他方必要に応じ右期間を定めることも許されるものというべきである。

本件についてみるに、少年の虞犯性はシンナー、ボンド嗜癖と結びついたものであつて、現状においては、規律ある生活環境のもとに右嗜癖の除去をはかることが肝要であるが、諸般の事情に照し、右目的を達成するためには長期間に亘る収容保護はその必要性に乏しく、最長一年間をもつて充分と思料する。

よつて、犯罪者予防更正法四二条、少年法二四条一項三号を適用して主文のとおり決定する。

(裁判官 尾方滋)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例